保険外自由診療で行なわれる医療ツーリズムには反対~渡辺議員が意見書に反対討論
3月15日の2019年第1回川崎市議会定例会で自民党議員が提案した意見書案第1号「医療ツーリズムの健全な発展と地域医療の確保を求める意見書」について、日本共産党の渡辺学議員(幸区)が反対討論を行いました。
渡辺議員の討論原稿は次の通りです。
反対討論
私は、ただいま議題となりました意見書案第1号「医療ツーリズムの健全な発展と地域医療の確保を求める意見書(案)」について反対の立場から討論を行います。
本意見書案は、病床過剰地域である川崎南部二次保健医療圏において、医療ツーリズム病院の開設が計画されているもとで、地域の医療資源、特に医療従事者の確保が著しく困難になるなかで医療ツーリズム専用病床の開設が進められると地域医療に大きな混乱が生じることが危倶されることから、医療ツーリズムが地域医療や保険診療を脅かすことのないよう、法令やガイドライン等のルールの構築を求めるものです。
昨年、医療法人社団・葵会が自由診療に特化した外国人専用の医療ツーリズム病院の開設申請を行い、2020年夏までに開設する計画を発表しました。
自由診療に特化した外国人専用の医療ツーリズム病院は、医療法との関連でも大きな問題があります。医療法は第1条で「国民の健康の保持に寄与すること」を目的としています。外国人専用の病床のみの病院開設は、法の趣旨、法の理念から外れることになります。実際、外国人が国内で治療、入院する場合はありますが、あくまで「例外」であり、人道的、国際的な見地からの対応です。医療法の趣旨から外れる病院開設や医療提供は違法の疑いがあります。
すべての人が貧富などの差別なしに適切な医療を受ける権利は、日本医療の根幹です。しかし、医療ツーリズム病院は、外国人の富裕層を対象に自由診療に特化した医療機関であり、このことは、医療法の趣旨、理念から外れ、地域医療、国民皆保険制度へも多大な悪影響を及ぼします。
意見書案は、医療ツーリズムが地域医療や保険診療を脅かすことなく健全に発展できるようにとして医療法改正と法令やガイドライン等のルールの構築を求めていますが、前提として医療ツーリズムの病院を認める方向の内容となっています。
私たちは、保険外の自由診療で行なわれる医療ツーリズムは国民皆保険制度を崩し、経済的理由などによる医療差別を持ち込むものであるとして反対をしてきました。この立場から、本意見書案には反対であることを表明して、討論を終わります。